お馴染みかどうかはわかりませんが、理科や生物の授業で「遺伝」を習った人の多くは「優性遺伝子(ゆうせい・いでんし)」「劣性遺伝子(れっせい・いでんし)」という言葉を覚えているのではないでしょうか。
その昔、メンデルという外国の人が2色のエンドウ豆を栽培し続けて発見したという遺伝の法則で出てきたやつです。
目次
何が優れ、何が劣るのか?
能力的な優劣ではなく、どちらが表に出できやすいかという優劣です。
生物は遺伝子というのを2つ一組で持っているのですが、色が遺伝するとして、黄色と緑色で黄色が優性なら双方の遺伝子をセットで持っている生き物は黄色になります。つまり違うものが組になった時、表に現れてくる方が優性です。
ちなみに組が2つとも黄色なら黄色ですし、2つとも緑色なら緑色です。同じものが組になった時は特に優劣を気にする必要はありません。
つまり優性・劣性とは、顕著に現れるか・潜んでしまうかということ(その1)
生物の先生もしきりに「『優れている』とか『劣っている』とかいう訳ではない。」と説明していました。予備校やテレビ、ネットでもよくこの話題を聞きます。
それだけ、この「優」・「劣」という文字は言葉の説明になっていないという訳ですね。
それを問題視した日本遺伝学会が、長年使われたこの「優性遺伝子」「劣性遺伝子」という言葉の改訂に踏み切ったというわけです。
つまり優性・劣性とは、顕著に現れるか・潜んでしまうかということ(その2)
そこで日本遺伝学会は、優性遺伝子を「顕性遺伝子(けんせい・いでんし)」、劣性遺伝子を「潜性遺伝子(せんせい・いでんし)」と呼ぶことにしようと決めたわけです。
これは性質を表していてとてもわかりやすいと思います。
でも・・・「けんせい」「せんせい」って音が似てますよね・・・。ぼそぼそつぶやく様にしゃべるおじいちゃん先生とかに教わった場合、「けんせい」って言ったのか「せんせい」って言ったのかわからずイライラするかもしれません(^_^;)
ただいま提案中とのこと。
現在(2017年10月)、日本遺伝学会では他にもいろいろ遺伝用語の改訂を行い、文部科学省に要望書を提出する段階なのだそうです。
「優性」「劣性」用語使わず 日本遺伝学会が言い換え :日本経済新聞
参考にしたページです。
その他の用語についても日本遺伝学会のページをリンクしておきます。
遺伝学用語改訂について
日本遺伝学会のページです。
文部科学省がこの提案を承諾すれば、きっと教科書も一斉に変わるのでしょう。
そういえばこの間、遺伝学ではない理科・生物全般の話しで、生物の覚える用語数がとても多く、暗記科目になっていて、生物離れが深刻化しているとかテレビで取り挙げられていました。授業で覚える用語や内容を見直し、用語の数も減らして理科・生物の本質が学べる楽しい科目にしたいらしいです。
賛成ですね。生物は面白くなければなりません!
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