QuarkXPress(クウォーク・エクスプレス)が返り咲きを狙う。

タイトルを読んだ95%以上の方が「何???」と思ったことでしょう。

本などの出版業界とかパソコンで誌面を作るシーンで使われていたパソコンソフトの名前です。レイアウトが精密に調整できる Microsoft Word と思っておけば問題無いでしょう。Adobe の InDesign とか PageMaker とかを知っていればそれと同じ類いのソフトウェアです。

今日はこの「QuarkXPress」の話題です。

かつて業界を牛耳っていたのは QuarkXPress

パソコンで誌面を作ることをDTP(デスクトップ・パブリッシング)と呼ぶのですが、このDTPが普及し始めたころ(1990年頃)、DTPといえばQuarkXPressというほど、業界のデファクトスタンダードとして使われていたソフトなのです。

同様のソフトにAldus PageMaker というソフトなどもあったのですが、 DTP では最後の行程に印刷・出版が控えており、印刷業者の多くはやはりスタンダードである QuarkXPress に注力、その他のソフトでは入稿できないところが多いという事情もあり、振るいませんでした。

Adobe が PageMaker、そして後継の InDesign で追従

デザイン業界に強いAdobeという会社があります。当時から多くの人が耳にするほど普及した「PDF」とか、少しマニアックなところだと綺麗な画面表示やプリントの為の「PostScript」言語で知られた会社です。

Aldus の PageMaker に目を付けたAdobe は Aludus を買収して Adobe PageMaker を手に入れるも QuarkXPress には勝てない状況が続いていました。 そして PageMaker を洗練させた Adobe InDesign を投入し、PageMakerをフェードアウトさせていくのでした。

Adobe InDesign 一本(FrameMakerとかいうのもあったんですけど)で QuarkXPress を追いかけていました。

私はこの頃大学生で、趣味で Adobe PageMaker を買っていました。本当は QuarkXPress が欲しかったのですが、趣味で買うには高すぎました。というか、全く手がでませんでした。

具体的な価格は忘れてしまったのですが、QuarkXPressを買うにはウン十万と必要で、PageMakerなら十万弱だったような気がします。

今度は InDesign の時代が訪れた

その後、機能的には両者一進一退の攻防、それほど差はなくなってきました。それでもやはり印刷業者に普及している QuarkXPressは強く、InDesignは牙城を崩せずにいました。

この頃、DTPといえば、Macintosh(Macのこと)で QuarkXPressを使うが普通だったのですが、Mac の基本ソフトである Mac OS が バージョン9 から バージョン 10 にアップグレードされ、その機能はおろか全く別ものに置き換えられました。同じMac という名前ながら Mac が Windows になったくらいの違いです。

このあおりを受け QuarkXPress も InDesign もソフトを作り直さないと Mac で動かないという事態に陥りました。この作り直し競争に勝ったのが InDesign で、僅かな差ではなく大差をつけて圧勝したことで、業界標準の雲行きが怪しくなってきたのです。

印刷業者も時代と共に QuarkXPress だけでなく PDF や InDesign での入稿が普及し始めていました。いつまでも動かない QuarkXPress など放っておいて InDesign に移行していくのは自然な流れだったに違いありません。

そして QuarkXPressはMac版開発自体も影を潜め、InDesignの時代が訪れたのでした。

まだ、QuarkXPress が存在した!

そもそも今頃、QuarkXPress をネタに記事を書こうかと思ったかというと、久しぶりに InDesign で資料でも作るかと起動した際にふと「そういえば QuarkXPressってまだ売っているのかな?」と思い、調べてみると売っていただけでなく「QUARK XPRESS 2016」なる名前まで掲げていたからです。

QuarkXPress 2016 | Award-winning design and layout software for print and digital publishing
Quarkの公式ページです。タイトルは英語ですが日本語のサイトです。

QuarkXPress が起死回生を狙っていた!

公式ページでまず最初書かれていた一文です。

QUARK XPRESS 2016
素晴らしい新機能-サブスクリプションは必要ありません

そうなんです。サブスクリプション・・・

Adobe InDesign が採用しているライセンス体系で、サブスクリプションは常に最新版を使用できるからと、年間〜円という年払いや月払いでソフトウェアを使用できるライセンスなのです。

私はずっと使えるライセンス(永続ライセンス)の最後のバージョンのInDesignを使っており、それ以降のバージョンはサブスクリプションになったため、バージョンアップしていません。もうサポートは切れているので新しい Mac で使えなくても文句は言えないこともあり、Mac OS も旧バージョンの InDesign が動く保証のあるバージョン以上にはアップグレードできない状態なのです。

そこに、Quark XPress なら サブスクリプション契約ではなく、永続ライセンスだときたものだから「え、本当!?」と魅力的に映るわけです。

ところが・・・(^_^;)

これは魅力的。どうせ入稿するわけでもなくプリントアウトだし、どうしても入稿が必要ならPDFにしてしまえばいいので最新版を買ってもいいのかも・・・と思い始めました。

ところが・・・

値段を調べてみると9万7千円ときたものです。。
買えるかいっ(>_<)。

まだまだ QuarkXPressが返り咲くのは難しそうです。

時代の波からいかに先に抜け出せるか・・・

こうした変化をチャンスと見抜き、うまく乗っかることが重要だと、今回 QuarkXPressについて調べていて思いました。市場を独占している機能やサービスを追い越せなくても、近づいてチャンスをうかがっていればその時が来て、そこで一気に抜き出ることで新しい時代を築くことができる。そんな感じです。

自分の行動にもうまく取り入れて行きたいと思いました。

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