先日、レンタルサーバー等のホスティングサービスで有名なファーストサーバーが大規模障害を起こしました。数日して復旧したとのことですが、サイトファイルは失い、DBも消失、メールも最近の未受信文は消失という状況で「復旧した」というのは如何なものかと。とは言え起こったものは仕方がない。

私がレンタルサーバーを使い始めた頃は、Netscape や IE こと Internet Explorer の初期で、Mosaic ですら過去のブラウザながらも現役として使えた時代。ウェブページと言えばシンプルなHTMLテキストと gif や Jpeg といった画像ファイルのみでした。この頃からデータは資産だという考えはありましたが、ローカルで用意したものをレンタルサーバーにアップして公開するという仕組みは、図らずとも遠隔地のバックアップを兼ねていたので、とても安心して利用できる環境でした。

その後、まばたきするほど短い15年足らずの間にネットの世界は様変わりし、JSP や Servlet、PHPなどのサーバーサードでいろいろなものを生み出す技術が生まれ、Oracle や MySQL など RDBMS の登場でデータすらもサーバー上にもち、サーバー上で加工する時代になりました。さらにはパソコンが家電並に生活の道具となり、いわゆる”パソコンオタク”ではない普通の人でも気軽に手の届くものへと変わっていきました。

今回、大規模障害を起こし対応がいまひとつなファーストサーバーも1996年設立ということなので、古き時代のウェブブームに乗って発展してきた企業みたいですね。そんなモラルだけで成り立ってた様な古き良き時代や、何かあっても利用者側がプライドと技術で解決していった時代に甘んじた運用と、めまぐるしい技術革新についていけなかったのではないかと、勝手ながらに想像してしまいます。技術革新についていけないというのは、特定の企業に言えるものではなく世界全体に言えることだと思ってます。

少しそれますがディスクを冗長化して主に耐障害性を高めるRAIDという技術、私はRAID5すら障害発生時に本当にリビルドできるのかが不安でつかえません。一方だけにすれば内容が見れる RAID0 が限界です。外部データも INSERT した後に中身が見えなくなってしまうRDBMSもいまいち好きになれず、可能な限りXMLや CSV ファイルで逃げる様にしてしまいます。情報漏えいの危険までプラスされる、今はやりのWebストレージなんてもっての他だと思ってるくらいです(第一、バックアップをとるためにローカルに同じ容量を持つくらいなら、最初っからローカルに保存してます)。

そんな古い人間なので、所詮データは流れ者、いつかは壊れて消えていくものと考えており、バックアップは自身でとりますし、バックアップ期間外のデータがロストした場合でも、「しまった。バックアップとってなかった。」と苦笑い程度で諦められます。もちろん自分でバックアップがとれる環境があっての話しです。

エンドユーザースキルも加味すると、今の時代こんな保証レベルがいいんじゃないかな・・と思う次第です。「データはお客様の大切な資産です。弊社でも万全を期しておりますが、データという性質上から絶対安全を保障することはできません。〜ボタンを押すとバックアップファイルがダウンロードできます。バックアップは自己責任で定期的に取得する様にしてください。最悪の自体が発生した場合でも、取得頂いたダウンロードファイルを弊社に送信頂くことでデータ復旧を行うことができます。」みたいな…無論データやファイルのサイズが問題になってくると思いますし、こんな思いつきが最前とも思ってはいませんが、方向性としては間違ってないとも思ってます。

少なくとも、運営が大手だろうと、データセンター自体が堅牢なセキュリティや免震設備を備えていようが、ハイクラスの消化設備、高速通信が可能なバックボーンを備えていようがいなかろうが関係なく、データは絶えず出たり入ったりを繰り返し、自然劣化し壊れゆくもの、唯一無二のかけがえのないものであることを意識していないとダメだと思います。データセンターは住まい、データは家族と考えると、より身近な問題として考えられるのではないかと思います。


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