IT業界と飲食業界の善し悪し、経験則から10の比較。

Twitterで流れてきた以下の記事、「IT業界と飲食業界、どっちがツライ?」私もよく考えていました。こういうネタもブログ記事ななるのだなと感心した私は同じく思うことを書いてみることにしました。二番煎じですが・・・

IT業界と飲食業界、どっちがツライ?両方体験した自分が考えてみました。 | 0から始めるラーメン屋 in 台湾
IT業界からラーメン屋さんに転身した方のブログです。

私のプロフィールとしましては、現在IT業界で仕事をしていて職歴はWebシステム系の開発を10年以上、飲食業界の方は学生時代にバイトながらに和食系ファミレスのキッチンで月100時間をコンスタントに超えながら4年数ヶ月在籍していました。

IT業界と飲食どっちの仕事がキツい?

このネタ元にした記事(冒頭で紹介)のデグさんは、IT業界から一転、ラーメン屋を立ち上げ、飲食業界にどっぷり入り込んだ方です。あるときスタッフさんから「IT業界と飲食どっちの仕事がキツい?」と質問され面白い質問だなと感じブログに書いたのだそうです。

何事も着眼点ですね。私の場合「この業界、真逆じゃん・・・」と思いこそしたものの「面白い、考察してみよう。」とは思いませんでした。ブログを読み始めるやいなや、この方はIT業界の方がきついと言いたげだなと思って読み進めると、結論もやはりその通りでした。IT業界は精神的にきつい、飲食業界は肉体的にきついというのは同感です。でも私は飲食業界の方がきついと思いました。ただ飲食業界の”きつさ”は”やりがい”とも言えます。IT業界のきつさは苦痛でしかありません・・・。そのへんを踏まえるとIT業界の方がきついというのも良く理解できます。

さて、結論から入ったところで何故に飲食業界の方がキツイと思ったのかを比較していきたいと思います。経験則で10個比較してみました。

その一、空腹時に他人のご飯を作らねばならない飲食業界

飲食業界が忙しいピークはお昼の12時前後と夕方7時前後。当然ながらお腹の空いているご飯時です。ファミレスに勤めている従業員もお腹が空いてきます。そんな空腹時に他人のご飯を作り続けるのはけっこうしんどいです。もちろん慣れては来るのですが・・・

その点、IT業界はお昼時間はわりと自由です。私の職場では11:30〜13:30くらいまでの間でみんなばらばらにお昼に出掛けます。よほど忙しくない限り、お腹の空いたらご飯が食べれます。

だから飲食業界はキツイです。IT業界ならお昼時間はわりと安定しています。

その二、朝が辛い飲食業界

私の場合ですが、飲食業界では土日はオープンから働いていて10時勤務、IT業界では9時始業でした。始業時間だけだとIT業界の方が早いですが「オープン(開店)」のプレッシャーがある分飲食業界の方がきつかったです。

これも会社や具体的な職種によると思いますが、IT業界なんて電車が遅延して到着が万が一午後になったところで調整が必要な仕事なんて月に数える程度、のこのこ出社していればいいのですが、飲食業界では開店と共にお客さんが来ますからね。どんな理由があっても絶対に遅れられません。お店のカギを預かった時なんて特に・・・

だから飲食業界はキツイです。IT業界なら朝に負けても何とかなります。実際問題、恒常的に遅刻してくるやつらばかりです。

その三、休日が安定しない飲食業界

私の場合、IT業界では土日祝祭日は休日でした。よほど納期に追われていない限りは休みが取れます。

一方、飲食業界の方は年中無休11:00〜23:00営業のお店でシフト制でしたが、急なバイトの欠勤など人手不足のあおりを受けて休日が安定していませんでした。私の場合はバイトだったのでまだマシでしたが、バイト間で人の調整がきかなかった場合、最終的には休日だった社員さんが休日返上となるのでした・・・。

それに、社員だとクリスマスや正月はバイトが手薄になるので出勤は避けられず(そもそも「社員なのに休むの?」とバイトから不平不満)、そんな厳しさもあります。

だから飲食業界はキツイです。IT業界の方がまだしっかり休める印象です。「体調不良」と言えば済んでしまう風土があります。

その四、終わりが見えないIT業界

IT業界の仕事の単位はプロジェクト、数ヶ月単位〜数年単位まで幅広くあり、決して1日ではありません。そんな長期戦の区切りを毎日つけることになるのですが、プログラミングや環境構築というのはちょっとでもつまづくと納期を圧迫するため一日の仕事の区切りというのもさじ加減でしかない印象です。そして私の経験では納期を終えてからも不具合だ仕様変更だなどとずるずるっと引っ張られていくのが常です。

一方で、飲食業界の終わりは明確です。私の場合23時閉店だったので平常なら24時頃には、大混雑でキッチンがハンパなくとっちらかってる時でも2時迄には一日の終わりが見えていました。

だからIT業界はキツイです。飲食業界ならどんなに想定外の混雑であっても終わりは見えているので気合いも入ります。

その五、社員でも涙の給料、飲食業界

飲食業界では、10年以上前の話しですが、中途一年目の社員さんが「税金等いろいろひかれた後の手取りが10万を切って生活できない」と嘆いていました。サービス業というのはサービスを受けるお客さんも「安さ」を求めているので、あまり従業員のお金には回ってこないのでしょう。

一方でIT業界は高賃金です。IT業界は一応「技術職」らしいですし、飲食業界の個人相手と違いIT業界の方は法人が相手なのでお金も取りやすいのでしょう。

だから飲食業界はキツイです。比べてしまえばIT業界は座っているだけでこんなに貰っていいのか!?と思ってしまいます。

その六、仕事終わるとぐったり疲労の飲食業界

IT業界はパソコンの前に座って黙々とという感じです。精神的に追い詰められる事はあっても肉体的には楽なものです。

一方で飲食業界の「忙しい」は壮絶です。私はキッチンでしたが、ご飯時には注文伝票が並び、洗い場はごった返し、食器や食材の補充やらで従業員は走り回りで大変です。テレビドラマとかである高級料亭の板前さんがどっしり構えて包丁を振るってなどというシーンは想像もつきません。

5時間とか10時間とか走り回って仕事を終え家に着いた頃には疲れ果ててそのままベッド直行なんてこともしばしばです。布団は油くさくなってしまうのですが・・・。そうそう、油くさいといえば服だけでなく体にも油臭さが染みつく感じです。仕事がない日も食用油の臭いを漂わせることになります・・・

だから飲食業界はキツイです。IT業界の「忙しい」なんて飲食業界の「忙しい」と比べてしまえば「は?何が?」程度、寝言は寝て言えと思ってしまいます。

その七、人間関係も悩みの飲食業界

私の環境がそうだっただけかもしれないですが、IT業界はほぼ社員(パートナー企業の社員も含む)で仕事をしています。みんな「仕事」として割り切る頭ができているおかげで、多少人間関係がこじれようと仕事に支障はありません。

一方で飲食業界はアルバイトに頼っている部分が大きいです。私がバイトしていた飲食店では社員は2名程度、残りは何十人かはバイトやパートさんが在籍していました。特に高校生や大学生のアルバイトは厄介です。そのほとんどは仮に仕事がなくても生きていける人達だけに感情で仕事をしています。嫌われないように厳しく、尊敬される人を目指すことにも気を遣わないと、指揮に影響が及ぶので気を遣います。

だから飲食業界はキツイです。社員ばかりのIT業界なんて「仕事だから」で表面上は円滑に物事が進んでいきます。

その八、怪我と隣り合わせの飲食業界

私が経験した飲食業界はファミレスのキッチンでした。包丁のよる切り傷や高温の油や熱湯による火傷、洗い場で割れたガラスで手を切るなど怪我と隣り合わせでした。

それと比べIT業界ではパソコン相手のデスクワークなので危険とは無縁です。精神的に病んで辞めていった人は何人か知っていますが・・・

だから飲食店はキツイです。キッチンでは怪我を覚悟しておかなくてはなりません。

その九、新メニューに翻弄される飲食業界

IT業界も新しい言語とか業務知識とか新しい仕事にあたって覚えなくてはならないこともあるのですが、古き知識と経験の蓄積で案外何とかなります。ところが飲食業界では「新メニュー」という大きな難関があります。

私の経験した飲食店では、新メニューは四季に合わせて新メニューが登場していました。新メニューは”春は筍”のような共通項はあれどお客さんに飽きられない様に毎年多様に変化します。そんな新メニューに覚えるので一苦労・・・。その上、アルバイトの方々は「わからないから教えて」スタンス全開なものだから、新メニュー開始前後はもう大変です。

だから飲食店はキツイです。IT業界の知識習得なんてGoogle先生がなんとでもしてくれるので楽なものです。

その十、家族にはなんの役にも立たないIT技術

せっかく習得した技術、自分だけでなく家族にも役立つ方がいいですよね。

IT業界(私の場合はWebシステム)の技術なんて家庭ではほぼ役に立ちません。セキュリティに詳しいとかバックアップの重要性を説くなどその程度です。オタクの領域でしかありません。一方で家族にも還元できる技術が身につくのが飲食業界です。

私の場合は和食系のファミレスでしたが、煮魚や焼き魚、揚げ物、ハンバーグ、天ぷら、刺身のサクの切り出し、イカやアジやホタテや伊勢エビの姿からの解体、茶碗蒸し、蕎麦、うどん、盛りつけや洗い物まで、その調理経験は今でも役立っています。

だからIT業界はキツイです。IT業界の知識など無くても家庭は平和に回っていきます。

総括、きついからこそ面白い飲食業界。だけれど・・・

私が経験した飲食業界とIT業界、どちらがキツイか10個考えてみたところ「飲食業界がキツイ」が8個「IT業界がキツイ」が2個と『「飲食業界」の方がキツイ』で圧勝でした。でもその分、充実感や達成感、誇れる経験として今も心の中に健在です。飲食業界に楽しい思い出が多いのは肉体的にきついからこそなのだと思います。

一方でIT業界なんて、納期が間に合わず連日徹夜だとか、チーム内ですら「これ今日中にやって」と無理強いされたり、ろくに感謝されることもなくIT業界での面白い記憶がないのは精神的にきついからなのだと思っています。作業も無機質だし、精神的な苦痛など乗り越えたところで充実感などあるはずもなく・・・。

だけれど・・・
いま私はIT業界で仕事してます・・・。

何故かといえば、私の場合はIT業界で仕事をしている賃金水準で、家を買ったり一家4人の生活の土台を築いてしまったからです。飲食業界の業務内容は魅力的なのですが、飲食業界の疲労と賃金は確実に釣り合っていません。だから飲食業界はキツイです。。でもIT業界のきつさのパンチ力はハンパないので、IT業界でくじけた時は立ち直れなそうで怖いです(>_<)。

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