㊗ ISSがこうのとり5号機の把持に成功。ミッションのおさらいをしてみました。

H−ⅡB5号機の打ち上げ (C) JAXA

H−ⅡB5号機の打ち上げ (C) JAXA

8月19日(水)の20時50分49秒、国際宇宙ステーションへの補給物資を詰め込んだ無人宇宙船「HTV(エイチ・ティー・ヴィー/愛称は『こうのとり』)5号機」を搭載したH−ⅡBロケット5号機が打ち上げられ、5日後の8月24日19時29分に油井 亀美也(ゆい きみや)宇宙飛行士の操縦するロボットアームで無事にキャプチャ(把持=掴むこと)に成功しました。

待ちに待ったこの瞬間をお祝いするとともに、今回のミッションは何だったのかを整理していこうと思います。

「こうのとり」とは何?いったい何を打ち上げたのか?

「こうのとり(HTV)」というのは宇宙を飛ぶ国際宇宙ステーション(ISS)へ地球から生活や研究のための物資を運び込む宇宙船です。宇宙船といっても人は乗れません。荷物専用です。帰りはゴミや不要品を乗せてISSから運び出すことができます。

5号機なので今回が5回目の打ち上げになります。1号機(技術実証機)は2009年9月11日、2号機は2011年1月22日、3号機は2012年7月21日、4号機は2013年8月9日、そして5号機は2015年8月19日に打ち上げられました。

2号機の話しになりますが、こうのとり2号機がISSに滞在中の2011年3月11日には地球で発生した東日本大震災による被害が原因で、つくばの地上管制センターは監視操作を3月22日までの間NASAに引き渡すという出来事もあったそうです。

記念すべきは日本人の連携プレー

ISSでは 油井 亀美也 宇宙飛行士

一番の目玉は先月の7月23日にISSでの長期滞在を開始したばかりの油井 亀美也 宇宙飛行士がISSのロボットアームを操作してこうのとりの把持に挑みます。JAXAの宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センターのページによると、「日本人宇宙飛行士が「こうのとり」の把持を担当するのは初めてとなります。」と書かれていました。

調べていたところ、星出 彰彦(ほしで あきひこ)宇宙飛行士がこうのとり3号機の把持を担当したと情報がありました。どういう事なのかともう少し詳しく調べてみたところ、「宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3) の運用状況について(PDF)」という資料に以下の記述を見つけました。

7月27日21時23分米国のアカバ宇宙飛行士の 操作するISSロボットアーム(SSRMS)により把持された後、7月28日00時22分に星 出宇宙飛行士によりISSノード2下方に取り付けられた。

こうのとり3号機は日米の合同作業だったみたいですね。

NASAでは 若田 光一 宇宙飛行士

地上とISSとの通信を取りまとめるのは、前回のISS長期滞在クルーとして記憶に新しい、若田 光一(わかた こういち)宇宙飛行士です。

筑波宇宙センター では 松浦 真弓さん

茨城県の筑波宇宙センターで「こうのとり」5号機運用管制チームを統率するのは、松浦 真弓(まつうら まゆみ)さんです。

機体の安全をテストするのは 星出 彰彦 宇宙飛行士

そしてクルーの立場から機体の安全性をサポートする星出 彰彦 宇宙飛行士の存在も欠かすことはできません。

力を合わせて・・・

NASAの心遣いもあったのでしょうか!?日本が打ち上げた日本の補給船を各所に置かれた日本人リーダー達が連携してキャプチャする。とても記念すべき瞬間を見ることがでした。

何故「把持」までで中継は終わり?

ふと気になっていたことがありました。

こうのとり5号機は補給船です。キャプチャはISSにドッキングするためのスタート地点でISSにドッキングして初めて「成功した」といえるのではないかのかと・・・。でもライブ中継はこうのとり5号機がISSに接近しランデブーするところから油井 宇宙飛行士がロボットアームで把持するところまでです。把持の後は中継しないのか?という疑問でした。

おそらく答えはここなのかと思う記事を見つけました。

大西宇宙飛行士、こんにちは!(前編) | ファン!ファン!JAXA!
補給船のキャプチャにはどの程度人間の操作が関与しているのか?

大西 卓哉(おおにし たくや)宇宙飛行士に向けられた以下の質問への回答です。

「こうのとり」などの補給船をキャプチャする時って、どの程度、人間が関与しているのでしょうか? 旅客機のように自動操縦になったりしますか?

「こうのとり」のキャプチャでは、筑波宇宙センターにある「こうのとり」管制センターにいる管制チームがNASAのISS管制チームと協力しながら「こうのとり」をISSのロボットアームが届く位置まで接近させるそうです。ここまでは地上の管制チームが操作を担うそうです。

こうのとりも自らの制御で飛んでいるとのこと。

そして、宇宙飛行士がこうのとりへコマンドを送り、こうのとりの全ての制御を切って宇宙空間に漂っているだけの状態にした後、ロボットアームを操作してこうのとりを捕まえるのだそうです。ここのみが宇宙飛行士の仕事だということです。

つかんだ後というのは、宇宙飛行士がISSへドッキングさせているのではなくて、つかんだ瞬間からは地上の管制チームが再び主役になるということでした。

だからきっと、地上管制から制御されていない手作業のところが見せ場で、その部分をライブ中継しているのだと思います。

ライブ中継、カッコいい仕上がり

JAXAによるライブ中継の録画が YouTube で視聴できます。

ISSのロボットアーム(SSRMS)による宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機の把持ライブ中継 =録画=

解説から把持の中継から打ち上げダイジェストまで、うまく構成されていて感動します。まだ見ていない方、見逃してしまった方は是非見てみてください。

こうのとり5号機の打ち上げから把持の成功、ほっとしました。日本のみならず国境を越えた技術とチームワークに拍手です。

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