『人の記憶は捏造される』~映画「白雪姫殺人事件」

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引越し後しばらく眠らせていたAmazon fireTV スティックを久々に接続し、映画を観ました。

今更ですが、いいですねfireTV。プライム会員になっていると無料で観られる映画が多くて尚良いです。

プライム会員は、無料お試し期間から解約手続きを忘れてそのまま有料会員に突入してしまっていたというのが始まりでしたが…

結果的には良かったです。

Kindleも会員価格で手に入れましたし、年間3000円(だったかな?)くらいでこれはお得です。

例えば映画を月に1本観ただけでも、普通にレンタルするよりお得だと思います。
そんなわけで、先日は原作湊かなえさんの「白雪姫殺人事件」を観ました。

※ここからネタバレを含みます。

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このお話は、随所にTwitterが登場するという、割と現代的なものです。

 

とある会社の美人OLがメッタ刺しにされて焼かれた事件。

その被害者は、テレビ局で働く赤星の女友達里沙子の先輩、典子だった。

 

赤星は、Twitterを愛用する、しがない雑用係のような契約社員。

そこへ「事情聴取を受けた」と連絡してきた女友達、里沙子。

何でも、犯人は恐らく殺された典子の同期の城野美姫だと専らの噂なのだとか。

 

城野は、典子とは正反対の目立たない地味な女性。外面の良い典子に裏で意地悪されていたという。

城野の怪しい点などを次々と話す美沙子と同僚たち。

その証言を元に、社内の人々から話を聞いて回る赤星。

ついには城野の大学時代の友人や地元の友人まで当たる。

 

やはり怪しい。

 

その頃、城野は行方をくらませていた。典子が殺されてから、会社はずっと欠勤。

ある場所に身を潜めた城野は、ネットの自分を責める書き込みを見て追い詰められ、自殺しようとしていた。

しかし、その時にテレビで報道されたあるニュース…

 

城野は留まった。

 

なんと、里沙子が典子を殺した容疑者として逮捕され、容疑を認めているという。

そう、全ては里沙子が城野に罪をなすりつけようとした自作自演だったのだ。

………

☆★☆★☆★☆★☆★

湊かなえさんの作品は過去に「告白」を本で読んで、なんだかすごく怖くて、それ以来触れていませんでした。

その怖さはホラー的な怖さではなくて、妙なリアリティーからくる怖さかな、と思います。

 

今回観た「白雪姫殺人事件」も、本で読んでいたら怖かったかな…?と思ったりしました。

けれど、映画だと少し軽いノリで観られて楽しめました。

ネット社会のことだったり、人の噂の恐ろしさといい加減さだったり、犯人の犯行動機が「そんなこと!?」というようなことだったり、これまた妙なリアリティーは感じました。

でも恐怖という感じはしませんでした。

何だか現実にもありそうな話で、そういう意味ではやっぱり怖いですけどね。
そして、まかの人が犯人で、そこは面白かったです。心の中で、は…?と呟きました。

 

ところで、このお話に出てくる城野の小学生時代の友人夕子の台詞に納得し、自分が言われているような気分になったので、最後にその台詞を紹介します。

 

人の記憶は捏造される。自分の都合のいいように過去を語る。大切なことを見逃すな!

 

若干言葉は違いますが、こんな内容の台詞でした。

本当に、自分が言われているような説得力。

 

というのも最近、記憶ってどこまで本当なんだろう…とかなんとか考えていたからです。

何冊か読んだ本にも、記憶は勝手に頭の中で作られているとか、自分のイメージで事実と違う映像を記憶していることがある、ということが書かれていました。実際にあった例を元に。

少し前の私は、記憶を疑うということがあまりなかったのですが、今は本当にアテにならないものだと思っています。経験からも。

里沙子のように意図的に嘘をつくというのは別にしても、記憶なんて曖昧なものみたいです。

 

そして、こんの夕子の台詞「大切なことを見逃すな!」の一言は心に刺さりました。

細部の記憶が本当かどうかなんてどうでもよくて、大切なことを見逃さないこと…大事ですね。

 

人の記憶のこと、人が語る他人のこと、ネットの世界のこと…

そんなことを改めて考えさせられる作品でした。

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