YJ漫画 東京喰種 #30 [苦味] を読んで

新展開突入ということもあって、前回までの喰種vs喰種捜査官の戦いはいったんフォーカスアウトし、カネキの身辺での動きにフォーカスがあてられた一話でした。例によってあら探しも含みながら東京喰種#030の感想です。

なんでも20区(カネキやトーカ、四方、ヒナミ達が生活している地域)で喰種捜査官が命を落とすのは10年ぶりだそうで、20区での喰種操作に全力を注ぐ方針だというニュースが流れてくるところから話が始まりました。まあ、テリトリー(20区)に入って行き笛口リョーコ(喰種)を惨殺したのは喰種捜査官(真戸&亜門)であり、その結果20区で事件が起こったというのは、スズメバチとかの虫や動物の世界ではごく自然なことかと。それはそうと、冒頭で鍛練か走っている青年が描かれていましたが亜門さんですかね・・。

短い1話の中にいろいろな問題を提起している様でした。どこまでが展開に関する情報なのかは全然読めません。「読者にいろいろ考えさせる」という点でうまいと思いました。

まず、カネキが人間から喰種になってしまったきっかけとなった神代リゼ(喰種)からカネキへの臓器移植。これが執り行われた嘉納総合病院での術後定期検診、カネキの検査結果は「問題なし」。確かにカネキが思う通り、嘉納教授は何もかも知っていて隠している可能性もありそうです。嘉納教授も喰種だったりして・・。それはうまくないか・・

一方、カネキの通う大学でも、カネキの親友のヒデ(永近)がテレビの影響を受けて喰種捜査官殺害事件の推理をしていました。手配書のコピーまで入手し、最近あった別の捜査官殺害の件も受けて手配中の娘の喰種(ヒナミ)と「ラビット」と呼ばれる捜査官殺しの喰種(トーカ)が別人ということと、目的が復讐ということを見事に言い当ててました。「復讐の代行人」というのは少し違っていて、実際はトーカの独断ですけどね。

これを受けてカネキが思った「ヒデの前でボロは出せない。きっと気付く。そうなったら終わりだ。」という言葉。人間も喰種も、もっとお互いのことを知るべきだと言っていたカネキの発言とは思えませんでした。バレたら何が終わるのか考えてみても、ヒデとの親友関係もしくはカネキの人間としての生活が終わるということでしょうか。どちらも大きな目標の前にはくぐらなければいけない道の様な気がしますし、元人間というだけで今や喰種と変わらないカネキにとってヒデに打ち明けるなら今という感じもします。言い出せないのもわかりますが、後でばれたらもともとカネキは喰種でだまして生活していたと思われるほかないでしょう。今なら「この間のリゼさんは実は喰種で」というところから初めて病院で臓器移植したという公の事実や、ヒデと退院祝いに行ったビッグガールで今まで大好物だったハンバーグが食べられなくなったこと、(おそらく)大学でも一緒にご飯を食べることを避けるようになったこととか説明して、ヒデが「まさか・・!?」と思ったとこで打ち明けるのが吉。ただ打ち明けたところで人間しか食べれなくなったカネキに光があるかというと無いですよね。もはやカネキは喰種。カネキがそれを自覚しているというなら発言もなんとなくわかります。

ところで、娘の喰種調査をやってみようかなというヒデ。仮に調査を進めていってヒナミとトーカと対時することになったら、カネキはどちらにつくのでしょう。

さて、話は大学を離れて喰種が集う喫茶店「あんていく」、前回の捜査官との戦いに勝利し亜門を追っ払ったカネキは一躍人気者に。なんでも喰種の一人が獲物探し中に見ていたんだそう。。ここは少し無理があると思いました。まず喰種は人間との戦いの時には素性がばれない様にマスクをしています。それはカネキも同様ですが、そんなカネキの姿を見て何故カネキとわかったのかというところ。喰種にとって捜査官は命を狙われる最大の敵にもかかわらず、とどめを刺すチャンスがあったにも関わらず追っ払っただけで称賛されるわけがないということ。「民家にクマが現れたけど追っ払いました」というのは単に取り逃がしたということ。仲間呼んで現れたらと思うと「何故とどめを刺さなかった?」や「何故捕獲しなかった?」という流れが自然。

それに、カネキが逃がした後、もはや武器も失い、記事も深く、ふらふらしながら真戸のもとに向かった亜門。誰の目にももう戦えないというのは明らかだったでしょう。見ていた喰種が獲物を探していたなら一石二鳥。逃げた亜門に襲いかかるのがこれまた自然。手負いの捜査官を見ているだけとは、人間しか食べれない喰種が獲物を探しているとは思えない行動でした。

今回はまだまだあって、カネキと店長との会話。カネキの「勝手なことしてすみません。僕のせいで捜査官がどんどんきたら・・」に対して店長が「ヒトである君が喰種を守るために戦った。私にとってこれほど嬉しいことはない。」と。まさにその通りで「人間であり喰種である自分だからこそ、できることがある」と意気込んでいたカネキですが、結局のところ喰種(トーカ、ヒナミ)を守るための戦いでしかなかったということ。ヒトが喰種を守るために戦い、喰種は救えたけどヒトは一人死んでますからね。

店長が最後に「それに私の方こそ・・・」と言いかけてやめた発言と、ヒナミはヒナミ自身の希望で喫茶店「あんていく」を離れトーカの家で暮らし始めたそう。このあたりを今後の含みにして物語は終了。新展開がどう動いていくのかは全く謎です。

32話以降の感想は「http://ネタバレ注意.com/tokyo_ghoul/index.php」にまとめてあります。

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